祇園「千ひろ」

心を澄ます

食べ歩き ,

かぶら蒸しをすくった瞬間、香りが顔を包む。

甘い、いたわるような香りと、ちくりと刺す、野の香り。

大地の豊穣と生の挟持が、香りと味の中に同居している。

一口ごとにかぶらの偉大が胸に染み、積もっていく。

甘鯛も銀杏も細かくして、かぶらのふわりとした食感を引き立てる。

その良心と潔さが、敬意を深くし、感謝を呼ぶ。

心を澄ます料理とは、こういう料理ではないか。

 

祇園「千ひろ」