六本木「ラ・ブリアンツァ」

好きな味

食べ歩き ,

「これマッキーさんが好きな味です」。
そう言っておっくんが出したのはスープだった。
天邪鬼な僕は、そう言われると何か一言、言いたくなる。
だが一口飲んだ瞬間、顔が笑い、体の力が抜けた。
豆や魚の滋養が混沌となり、地平線のようになだらかで、永遠がある。
冬に向かって養分を蓄えた野菜と魚が抱き合い、微笑みながら新たな天体を生み出している。
「魚介と冬の野菜のスープ ベルッツァータ」という名だという。
塩加減がギリギリで、旨味が目覚める際のところで止めている。
だからこそ、喉に落ちたスープは、体に染み込み、隅々の細胞まで行き渡るのだ。