夏の終わりは辛い。

食べ歩き ,

夏の終わりは辛い。
四川ではそんな決め事があるのだろうか。
とにかく昨夜は、[趙楊]史上、最大の辛さ攻撃であった。
豆腐を模した、鳥のささみと卵白のスープの癒しの味わいは、辛味構成の唯一の安息地だったとは誰も知らない。
一人でこれだけの鹿のアキレス腱を食べたのは初めてだとはしゃいでいる場合ではない。
アキレス腱のほのかな甘みに、強烈なる辛味としびれが絡まっているのだから、たまりません。
下にしかれた空心菜も消火にはならず、口に花火が上がります。
さらには、牛タン、ナマコ、烏骨鶏の、食感の異なる三鮮にゴーヤを加えて煮込みも、口の中でキックする。
辛味に苦味が入った魔界の魅力ではありますが、じわじわと口腔をいじめ、汗腺、涙腺から体の水分が放出するのでありました。
堂々たるすっぽんの煮込みは辛くないだろうと箸をつけたら、青唐辛子がたんまりと入って、またすっぽんのコラーゲンの甘みを鼓舞しながら、口の中を混乱させ、涅槃へと運ぶのであります。
また豆腐料理は辛くないだろうと思いきや、ここにも青唐辛子が活躍し、豆腐の甘さがカーブして僕らをいたぶるのです。
唯一アヒルの古代風揚げ物は、辛さとは無縁で、味付けて一時間蒸してから、くるみとクワイを挟んで揚げたという、これまた様々な食感に翻弄される料理ではありましたが、辛いの食べ続けた舌には、熱々が熱い。
ところがどうでしょう。今朝起きたら、体の調子がすべていいのです。
お父さんが薬膳師で、小さい頃から薬膳に精通していた趙楊さんお、辛味に隠した薬効だったのですね。