出来たてのフリッタータに敵うものはない。
熱々になった玉子の甘い誘惑の中には、ジャガイモの甘みやカルチョッフィのほろ苦みが溶け込んで、僕らを夢へと引きずりこむ。
甘みや苦味、微かな酸味が舌の上でダンスをしながら、喉へと消えていく。
寝室で新聞を読みながら、エチオピアコーヒーを飲んでいると、執事が入ってきて告げた。
「ご主人様、ご朝食のご用意ができました、本日はお申し付けいただきました。フリッタータのご用意ができております。お席につかれ、合図をいただければすぐに出来立てをお出しいたします」。
そんな朝を迎えたいと、一人でニヤニヤしながら夢想した。
「ブリアンツァ」にて。