山形「出羽屋」

再生。

食べ歩き ,

一皿ごとに、風が吹く。
深山にそよぎ、湧水に舞い、木々の間をすり抜け、草を揺らす風が、香りとなって、体の中を吹き抜ける。
精神の汚れを落とし、浄化する。
やがて心は澄んで、澄んで、静かに瞑想する。
「出羽屋」の山菜料理である。
ここは、かつて擬死再生の儀礼が行われてきた、月山の麓にある。
修験道が命の糧とした山菜は、清いままに料理されて、我々の口を喉を、そして内臓を洗う。
どの山菜も、人知れず自生しながら動物の息がかからないまま、皿に乗せられている。
その喜びに満ちた、静かな静かな命の滴が、本当の我々へと再生させるのだ。