体の澱みが消えていく

食べ歩き ,

体の澱みが消えていく。
ソウルのインサドンにあら「ヌイジョ」の料理には、そんな気配がある、
南瓜粥、ムルキムチ。野草の葉に重ねられた、筍と梨、トマト、桑の実。梅とつる人参を生ジャガイモでくるん食べる前菜の穏やかな滋味で、体が目覚めざめる。
そして野草サラダを口にすれば、甘酸っぱいドレッシングの中から、様々な青々しい香りが放たれる。
かおりが口腔を洗い流し、苦み、ほのかな甘み、酸味などが、舌を、喉を、鼻孔を浄化する。
ドレッシングは、山野草20種類以上を黒砂糖でつけ、発酵させたエキスであるという。
蓬の香りが口いっぱいに広がる、蓬のチヂミに、優しい味わいの豆もやしのチヂミで和み、辛味や甘みに頼りすぎない、「ナッチポックム」で、微笑む。
脂が軽く溶けていく「チュユク茹で豚肉」に添えられた、チャンキムチという醤油漬け白菜キムチの酸味、エイと大根の漬け物、菊芋の漬け物がいい。
常備菜は、三つ葉のナムルに筍のナムル、椎茸のナムル、 香り弾けるチャンナン、ペチュキムチ、エゴマナムル、小エビのキムチ、大根と高菜、ツル菜のナムル、干しするめとつる人参のキムチ。
蓮の葉包みご飯(もち米と五穀米)に、なんとも心休まるテンジャン(味噌汁)が添えられる。
デザートは、 蒸した白山菊の葉に、サツマ芋をすりつぶしたピュレ、上に乗るは、朝鮮人参を棒状にしてのせた、きんとんのような食感の穏やかな甘みを持つピュレである。
飲み物は「シッケ」。麦芽を使って発酵させ、甘みに山野草の酵素を使った、優しき味わいである。
かなりの量を食べたが、少しも腹が重くない。
それはあなたの胃袋だからと、言われそうだが、消化に優れた野草のせいに違いない。
ちなみに店名は、韓国の古い神話にある、農業の神様の娘だという。