京都「研野」の締めご飯は、土釜の蓋を開ける儀式から始まる。
「今日もうまく炊けていただきました」と、研野さんが喋り、B G Mも恭しくい華やかな音楽になって、拝むように、敬うように蓋を開ける。
そして晴々しい顔になる。
もうこれだけで、猛烈にご飯が食べたくなるではないか。
米は、青森の青天の霹靂。
青森の郷土料理だという、モロッコインゲンと油揚げと大葉の甘辛炒め、昆布の佃煮、味噌汁、お漬物とともに配膳される。
そのまままず白ごはんをいただく。
すうっと背筋が伸びる時間である。
そしてできますものは、ちりめん山椒、叉焼丼、鱧カツ卵とじ丼、マグロ納豆丼、山形のだしかけご飯ときた。
僕は、マグロ納豆丼と山形のだしかけご飯を、お願いした。
面白かったのは、マグロとそめおろしがかかったマグロ納豆丼である
どこにも納豆の姿が見えないのに納豆の味と香りがある。
聞けば、納豆を一晩漬け込んだ醤油を使ったのだという。
さらには、オクラ、ナス、きゅうり、山芋、シラス、茗荷を刻み込んだ、だしかけご飯も素晴らしい。
このあともう人る締めご飯があり、極細稲庭うどんを、鰹出汁に煮干し加えた出汁と大根おろしとかいわれで食べさせる、冷たいうどんである。
そこでスッキリ炉治るのだった。
まさしく個性的で、楽しく、会話が弾む、「研野」らしい締めご飯である。