五目焼きそばへの陵辱がやめられない。
海外から帰ってくると、真っ先に食べたくなるのは日本料理ではなく、「あんかけ五目焼きそば」であった。
それほどに好物なのに、陵辱したい。
「あんかけ焼きそば」が運ばれる。
麺の焼け具合(焦げ具合)を確認して、ニヤリと笑う。
最初はそのまま、何もかけないで食べる。
野菜、魚介、肉の数を確認しながら、どの時点でなにを食べるか組み立て、食べ始める。
まず辛子である。
溶き辛子をちょいとつけては、焼きそばを食べる。
辛子のアクセントが、餡の味をシャープにして、気持ちが上がる。
つぎに酢である。
ちょいとかけては食べる。
あるいは辛子を餡の上に乗せ、その上から酢をかけて満遍なく混ぜてもいい。
それくらいでは凌辱とは呼べないのじゃないかと、思った人もいよう。
だが、酢と辛子という組み合わせは、次第にはどめがきかなくなる。
酢をじゃぶじゃぶかけては、芥子を塗りたくる。
次第にエスカレートして、餡と酢は混じり、皿の上は酢芥子の池ができ始める
もはや酢芥子湯麺である。
なにかいけないことをしている快感もあって、この陵辱が止まらない。
高円寺「太陽軒」にて





