外食で餃子を食べるようになった大学生時代、衝撃を受けた店が三軒ある。
第一は、神保町の「スヰートポーヅ」だ。
創業昭和十一年。「包子餃子」と看板に記された、細長い店に入ると、お客さんが黙々と餃子を食べている。
出てきた餃子を見て仰天した。襞がない。端っこが包まれていない。細長い。
食べて仰天した。皮がパリッと香ばしく、かつ肉汁が染みている。にんにくが入っていない。辛子醤油で食べる。あっさりとした味わい。
あらゆる点が、今まで食べてきた焼き餃子と違う。
さらにこの店で、生まれて初めて「水餃子」を食べたのである。つるんとして、もっちり。焼き餃子の皮とは違う魔力に、すっかりはまったのである。
だがここは学際の身分ではいささか高く(現在水餃子840円)、中々行けないだけに、憧れがいっそう募ったのである。