大人と子供の両面

食べ歩き ,

フランベし、煮詰めたウィスキーとバター、醤油で作った「すぎ田」のポークソテーは、一口食べた途端に体の力が抜ける。
「ああっ」といってだらしない顔になって、あわててご飯を掻き込む。
バターのコクと醤油のうま味が、豚の甘みに加わって深みを増し、そこにウィスキーが香って、どこにもない味になる。
舌を簡単に堕落させながらどこか毅然とした、大人と子供の両面がある。
どこにもない味は、絶妙な煮詰められ方で、丸い。
豚を滑らかに包み、舌を優しくすぎ、くるんと心を魅了する。
カツもいいがソテーもいい。悩みどころだが、昨日はソテーとした。
「すぎ田」、人形町「そよいち」の醤油と酒、ニンニクとバターのポークソテー。西大島「平太」の分厚いポークソテー、御徒町「ぽん太本家」の雄大なポークソテー。浅草「大宮」のりんごと白ワイン、生姜とニンニクの洒落たポークソテー。僕が勝手に選ぶ、東京5大ポークソテーである。