フグで作るはんぺん

食べ歩き ,

はんぺんは、ふわりと崩れると、うまみがずんずん舌に積もっていく。
甘みも、塩気も、酸味もない。
純粋なうまみだけが膨らんでいく。
「江戸時代の料理書に、フグで作るはんぺんが一番うまいと書いてあったんです。だから作ってみました」。
店主佐藤さんは、いたずらっ子のような笑顔を浮かべながら、そう言われた。
品のあるはんぺんに合わせて、下地も淡く整えてある。
うまみの余韻に、ぬる燗を流し込む。
途端にフグちりをいただいた時のような幸せが、体に満ちた。
原宿「重よし」にて