新宿シェフスのソラマメ炒め

世の食べものはほとんど好物という節操のない舌を持つタベアルキストが、特に好きという食材がいくつかある。
そのひとつがソラマメである。

酒亭で品書きに見つけると、必ず頼み、できれば独占したいと願う。
ソラマメの料理で最も彼を生かしていると思うのが、新宿シェフスのソラマメ炒めだろう。
茹でて、塩味とスープの風味だけで炒め、葱を散らした簡単な料理なのだが、適妙な塩によってソラマメのほっくりとしたやさしい甘みが極限まで引き出されていて、恵みに感謝したくなる。上湯の香りと豆の香りがからみあい、鼻に抜けていく余韻もたまらない。
簡単そうなのだが、いくら家でやってもできない。シェフに聞けば、ちょっと茹ですぎかなと思うくらい茹で、つぶすように炒めるのがコツだそうな。
もちろん上湯の香りと塩加減もポイントである。
このソラマメ炒め。一番おいしい食べ方は、ご飯に乗せて掻きこむことである。ご飯、止まりません。