路地の王様という通称から店名がついた老舗とんかつ屋。
独創的なカツカレー丼「とん丼」と並ぶ名物が「とんサンドウイッチ」九百五十円。
一見普通の生パンを使ったカツサンドであるが、独特の工夫が隠されている。
その一つは、注文が入った時点で切り、せいろで蒸すパン。
もう一つはパンの片面にはソースを塗り、もう片面にはカレールゥーを塗ることである。
食べればパンはむっちりとしてほの温かく、熱々の揚げたてカツや千切りキャベツ、薄切キュウリをいたわるように包み込んでいる。
聞けば肉まんにヒントを得ているとのこと。
包み込まれるようにパンにめり込んだ歯が、ジューシーな肉に出合う感触は、新たな喜びを生み出している。
さらにカレーの刺激が豚の甘さを引き立て、後を引く。まさにとんかつ屋の矜持が詰まったカツサンドだ。