アワビと百合根

日記 ,

アワビが持つエロスと百合根の温かい包容力が、抱き合った。
互いを見つめながら一つになり、微笑みあっている。

蒸し煮にしたエゾアワビと鮑の煮汁と百合根のソースである。
アワビに歯を入れると、海の滋養が静かに溢れ出す。
そこに百合根のエレガントな甘みが流れ込む。
その時僕らは、遠く離れていても山と海は繋がっていることを知る。
春を喜びながら、命を謳歌している生物が手を繋ぐ。
人間の小ささを感じながら、大地と大海の狭間で生きながらえる感謝が湧き上がる。

函館「コルツ」にて
全14皿 28!の料理の全貌は別コラムを参照してください