銀座「ラ・フィナージュ」

アミューズという立場の優美。

食べ歩き ,

「明日の朝も作ってもらいたい」。
そのスープを飲み終わった時、同席した一人が言った。
アミューズに出されたスープである。
そこには、スクランブルエッグとウニ、オマールのフォンが出会わされていた。
一口飲むと、オマールの豊満なうま味が舌に広がり、その後から卵の甘みがそっと寄り添う。
ウニの甘みがぽとりと落ちる。
スクランブルエッグ、ウニ、オマールのフォン。
オマールのフォンを、わずかにわずかに立たせながら卵とウニは、調和を目指す。
その三者のバランスが絶妙で、うますぎるというラインを決して越えようとしない品がある。
それでいて、しみじみとしたうまさが、じわりじわりと体に忍び寄る。
アミューズという立場をわきまえた優美さが、食欲を増幅させる。
飲み終えながら、これから始まる料理への期待が、ゆっくりと高まって行くのを感じた。