アケビの上に盛られたおつくりに続いて
「美山の天然落ち鮎です。いまおいしいもんかけますから、まっとってください」。
そういってかけられたのが、真子と白子の塩漬け一年熟成。
鮎を極薄塩で焼き、塩漬けの塩気で食べさそうという算段。
あらまあ、練れた塩気が鮎に寄り添い、香魚が妖艶な味わいに。
子供に白子と真子、
これも酒呼びもうたまらん。
二度上げした骨も香ばしい。
「京野菜の冷やしうどんです」。
氷の器が出された。
これも、
「いまいいもんかけますからね」。
と鮑にかけられたのが鮑の肝酢。
苦味と酸味が涼味に深み加え、またまた酒を呼ぶのであった。
もういやんなっちゃう。
「伊勢海老の白味噌煮です。器が熱くなっていますのでお気をつけてください。まずそのまま食べてください。あとでいいもんかけますから」。
おおこれも二段攻撃か。
伊勢海老は半生で、その甘みが、ほんのり海老の香りが溶け込んだ白味噌の甘みが溶ける。
優しい味に目を細めていると、オレンジ色のソースをたらりとかけた。
「海老のソースです」。
甲殻類特有の豊かな香りが加わった濃厚なうまみが舌を包む。
まごうことなき和風ビスク。
まいりました。
お次は、なんと生鳥貝を使った土瓶蒸し風。
「先に早く鳥貝を食べてください」。
松茸の香りがついた、半生鳥貝の色気にのけぞり、盃に手を伸ばす。
「はい松茸」。
と後から松茸の追加。
汁飲む器には、赤壁の歌 蘇東坡
天ぷら屋ゆえにてんぷらも。
たまねぎ、レンコン、鱧にアスパラ。
ズッキーニは素上げして、味噌漬け豆腐のソースと大徳寺納豆添えて。</strong>
にくいね、ちきしょう。
閉めは「鱧ご飯」。
「これもどうぞ」。と、「このこ酒」
棒この子といわれる最高品質を使ったもの。
酒が酒を呼ぶたあ、まさにこのこと、酒もってこい。
さらにからすみも。
酔うほどに肴出し、酔うほどに酒奨め。
酔目で望む嵐山。
最後は魯山人の器ででお茶を飲む。
これで閉めて1万3千円(なぜか一見さんなのにサービスされました)
安う。