京都「天ぷらまつ」

まつの奇跡2

食べ歩き ,

アケビの上に盛られたおつくりに続いて 
「美山の天然落ち鮎です。いまおいしいもんかけますから、まっとってください」。 
そういってかけられたのが、真子と白子の塩漬け一年熟成。
鮎を極薄塩で焼き、塩漬けの塩気で食べさそうという算段。 
あらまあ、練れた塩気が鮎に寄り添い、香魚が妖艶な味わいに。 
子供に白子と真子、 
これも酒呼びもうたまらん。 
二度上げした骨も香ばしい。 
「京野菜の冷やしうどんです」。
氷の器が出された。 
これも、 
「いまいいもんかけますからね」。 
と鮑にかけられたのが鮑の肝酢。 
苦味と酸味が涼味に深み加え、またまた酒を呼ぶのであった。 
もういやんなっちゃう。 
「伊勢海老の白味噌煮です。器が熱くなっていますのでお気をつけてください。まずそのまま食べてください。あとでいいもんかけますから」。
おおこれも二段攻撃か。 
伊勢海老は半生で、その甘みが、ほんのり海老の香りが溶け込んだ白味噌の甘みが溶ける。 
優しい味に目を細めていると、オレンジ色のソースをたらりとかけた。 
「海老のソースです」。 
甲殻類特有の豊かな香りが加わった濃厚なうまみが舌を包む。 
まごうことなき和風ビスク。
まいりました。 
お次は、なんと生鳥貝を使った土瓶蒸し風。 
「先に早く鳥貝を食べてください」。
松茸の香りがついた、半生鳥貝の色気にのけぞり、盃に手を伸ばす。 
「はい松茸」。
と後から松茸の追加。 
汁飲む器には、赤壁の歌 蘇東坡 
天ぷら屋ゆえにてんぷらも。 
たまねぎ、レンコン、鱧にアスパラ。 
ズッキーニは素上げして、味噌漬け豆腐のソースと大徳寺納豆添えて。</strong> 
にくいね、ちきしょう。 

閉めは「鱧ご飯」。
「これもどうぞ」。と、「このこ酒」 
棒この子といわれる最高品質を使ったもの。 
酒が酒を呼ぶたあ、まさにこのこと、酒もってこい。 
さらにからすみも。 
酔うほどに肴出し、酔うほどに酒奨め。 
酔目で望む嵐山。  
最後は魯山人の器ででお茶を飲む。 
これで閉めて1万3千円(なぜか一見さんなのにサービスされました) 
安う。