神田「まつや」

なんとしても飲まなきゃ。

食べ歩き ,

蕎麦を一枚、つつぅっと手繰って出るつもりで入ったが、また飲んでしまった。
何しろここは、11時に行こうが、昼過ぎにいこうが、なんとしても飲まなきゃという雰囲気になる。
先日も、目の前には下駄履き作務衣姿で膝に手ぬぐいを乗せたおっちゃんが1人燗酒をやっていた。
周りを見回すと、昼前だというのに飲んでらっしゃる方が多い。
これはもうお付き合いするしかない。
「燗酒と海苔に、わさび蒲鉾、葉わさびね」と、頼む。
すぐさま徳利と蕎麦味噌が運ばれる。
だがこの蕎麦味噌には手をつけない。
かまぼこを食べる前に箸先に味噌がつくのが嫌だからである。
焼海苔は、箸先で醤油をチョンチョンとつけ、わさび巻き込んで食べる。
蒲鉾は、醤油にちょい漬けしてから、わさびを乗せて食べる。
葉わさび 辛いので、少しで酒を飲める、いいつまみだなあ。
「すいません、もう一本、焼き鳥をタレでお願いします」
これもすぐ来る。
ここはなんでもすぐ来て気持ちがいい。
焼き鳥は、溶き辛子をつけて食べる。
そうすれば甘辛タレを、辛子がちょいといなしてくれる。
時には、山椒もいいですぞ。
さあそろそろそばか。
「すいません。ザルを一枚お願いします」。