なぜ僕らはこういう料理を大切にしなくなったのだろう。

食べ歩き ,

なぜ僕らはこういう料理を大切にしなくなったのだろう。
高級食材や珍味を喜び、インスタ映えに走り、ご馳走を食べたことを自慢するようになったのだろう。
舞い上がり、浮き足立った料理と心は、永遠に地面に降りることができないことを、気づかなくなったのだろう。
西表島「はてるま」には、先人達が残した知恵に敬意を払った料理が生きている。
自分で獲った魚と、育てた野菜で料理を作る。
そのために女主人は、那覇から西表島に移った。
日本中の文化人が恋い焦がれて、この店を訪れるためだけに西表島にやってくるという。
味噌ラフテーは、豚の凛々しくも穏やかな甘みと味噌が出会い、新たな天体を作っていた。
これを口に含み、泡波と合わせると、時が永遠となった。
シャキシャキと食感が楽しい、カーナイリチー は、豚脂とキノコと炒め合わせ味をつけただけなのに、頭がクラクラとするほどにうまい。
どの皿も味は淡いが、滋味が深い。
食材の香りと味わいが、生き生きと舌を包み込む。
そんな料理は心に火を灯し、脳を安らかにし、身体をひっそりと強くする。
はてるまの全料理は、別コラムを参照してください