どや?あんたの揚がり具合は?

食べ歩き ,

「どや? あんたの揚がり具合は?」
「どやってあんた。一緒に揚げられて、半分に切られてるんやから、あんたも私も同じや」。
「そやったな。しかしお互い、いい色艶やな」
「ああそやな。周りが焦げる寸前のカリッとガリッとのちょうど真ん中くらいでな、香ばしくて、この食感に、人間はやられるんやと」。
「ほんまや。カリッときたら、中はホクホクでんがな」。
「ガリッ。カリカリ、ほくほく。たまりまへんな」。
「なんか見てるうちに、あんたのこと食べとうなってきたわ」。
「かんべんや。共食いなんて」。
「揚がって、ますます甘いやろ」。
「甘い。でもこれから冬に向かって、もっと甘く甘くなりますやろ」。
「あの一番甘い時に揚げてもらったら本望やったんけどな。今の時期もまた美味しいんや」。
「そやな。甘すぎない美徳ちゅうやつや。それに油っこくないし、こんなにでっかいの食べても胃にもたれん」。
「それがこの主人の“技”というところや」。
「上手に揚げてもろて、幸せやな」。
「そや。生まれ変わっても、また近藤さんに揚げてもらおな」。