ご主人様、おはようございます」。
「ああ、おはよう」。
「お目覚めのスープが、出来ております」。
「今朝はなんだい?」
「はい。冬瓜のスープでございます」。
「いいね。それでは果物の後にもらおうか」。
「かしこまりました」。
執事が、新鮮な果物の残り香が漂う寝室に、銀盆に乗せた小鉢を運んできた。
小鉢の蓋を取ると、豊かな香りが顔を包みこんで、目を閉じる。
たっぷりの金華ハムや干し貝柱でとった、広東風上湯で冬瓜をくつくつと煮込み、崩して細かくし、再び上湯と合わせたスープである。
飲めば、滋養がゆっくりと舌を流れ、体の隅々まで行き渡っていく。
「はぁ〜」。
充足のため息をつきながら、崩れた冬瓜を流し込む。
微かな微かな冬瓜の甘みが、味蕾を鋭敏にさせ、今日一日生きる勇気を奮い立たせる。
そんな夢想を呼ぶ、福臨門改め「家全七福酒家」の冬瓜の蒸しスープ
ご主人様、おはようございます
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