浅草 冨味屋

これが「焼肉屋」。それが「焼肉屋」。

食べ歩き ,

これが「焼肉屋」である。
僕が最も信頼する渋谷の焼肉屋の主人も、全国の焼肉屋に出かけて、おそらく日本で一番焼肉屋に行った男だが、今はこの店にしか来ないという。
ブランドや銘柄はうたわない。
A5や希少部位といった言葉も使わない。
ウニも乗せない(笑)
焼肉通なら、このハラミを見ればその仕事ぶりがわかるだろう。
掃除の仕方、厚み、切り込み、味付けなど、すべてが最善に向かっての仕事がある。
このミノを見ればわかるだろう。
ミノの中の最厚部分に、丁寧な包丁仕事をして、美味しさを膨らます。
さらにタレが素晴らしい。
うますぎず、そっと肉の味を持ち上げる。
お子ちゃま相手の焼肉屋とは違う品格が、食欲をすぐには攻めずに、じわじわと包囲して、肉をいくらでも食べさせるのである。
さらにはスープも石焼ビビンバッブも、頭抜けておいしい。
どちらにも、この料理のおいしさがどこにあるか周知した正しさがある。
そんな店なのに、先日はさらに贅沢をした.
生家でもある高山イサミシェフに焼いてもらった。
焼肉屋の常識を覆す焼き方には、焼肉の真実があって、シェフが他に2人いたのにも関わらずおまかせして、一同大いにコーフン、上気したのである。
ここには、頭で食べる焼肉はない。
本能で食べる焼肉だけである。
それが「焼肉屋」というものである。
冨味屋にて。