早稲田「奏す庵」日本橋に移転

おかえり

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おかえり。
100年ぶりに元祖カツ丼が、生誕の地。東京鶴巻町に帰ってきた。

カツ丼の元祖は、玉子とじではなくソースカツ丼だというのを、ご存知だろうか? ドイツで料理修行をした高富増太郎が大正2年に発表会で披露した、ソースカツ丼である。彼は鶴巻町に「ヨーロッパ軒」を構え、人気を得た。そして近所の「三朝庵」にカツを提供し、玉子とじカツ丼が生まれた。その元祖カツ丼が、東京早稲田鶴巻町に帰ってきている。

揚げられるカツは、薄カツ3枚に厚いカツが2枚。この組み合わせが心憎い。ソースのうま味を吸って、ご飯と一体化する薄カツと、食いちぎって肉の甘みを味わう厚いカツは、食べ進む勢いを途絶えさせない。「旬香亭」古賀シェフが考案した甘口のソースは、丸く、品があって、ご飯を猛然と掻きこませるたくましさもある。さらにご飯も素晴らしい。福井がの誇るコシヒカリは、カツの下で甘く香って、豚肉の滋味やソースのうま味を優しく受け止めるのである。

あとはもう脇目も振らず一気呵成、丼の底に向かって、掻き込もう。

丼の蓋を開ければ、ソースにまみれた薄いカツが現れ、ソースの匂いが鼻を突いて、食欲を煽り、唾が出る。

揚げられるカツは、薄カツ3枚に厚いカツが2枚。ソースのうま味を吸って、ご飯と一体化する薄カツと、食いちぎって肉の甘みを味わう厚いカツという布陣が、心憎い。薄カツと厚カツを交互に食べ比べる楽しさがあり、単一になりがちな丼物に、味わいの起伏を与えている。

また、「旬香亭」古賀シェフが考案したという甘口のソースは、丸く、品があって、カツを持ち上げながら、御飯を猛然とかき込ませるごたくましさもある。

その上に丼の基本である、ご飯が素晴らしい。福井県が誇るコシヒカリは、カツの下で甘く香って、豚肉の滋味やソースのうま味を優しく受け止めている。

ソースの旨味、肉の滋味、細かいパン粉の食感、ご飯の甘みが渾然となって、一気呵成に食べてしまう。しかも困ったことに、食べ終えてしばらく経つと、また無性に食べたくなるカツ丼なのである。

早稲田「奏す庵」