その居酒屋は一年に二日だけ営業する。
京都から来たバーの店主と、その店主が弟子と呼ぶ割烹店主による「うえじま」という居酒屋である。
料理のメニューを見て欲しい。
片っ端から頼みたくなるではないか。
お酒のメニューを見て欲しい。
「料理の量はどれくらいですか?」と聞けば
「割烹のコースでお出しする量と同じですので、6から7皿くらいがちょうどいいと思います」
そう言われていたのに、結局11皿も頼んでしまった。
★糸こんにゃくといぶりがっこの白和え
★戸田さんの乾物7種盛り
★赤ムツ黒ムツのお造り
★天然キノコのオムレツ
★鶏レバつくね
★海老マヨすだち風味
★人生で一度で会えたら幸せレベルの白ぐち
★糸引き蓮根
★とんかつ味噌とキノコのソース
★オアカムロアジの棒ずし
★春菊のシャーベット
「この戸田さんて誰ですか?」
「うちのスタッフです。外資系の会社に勤めていたんですが、料理が好きでやりたいと志望して来たんです」
といった風に、店主だけでなく各スタッフが考え抜いた料理が出される。
そしてバー店主の選んだ、ワインや日本酒、カクテルを飲む。
二日限りの居酒屋には、スタッフの心意気とお客さんの満ち足りた気持ちが充満して、カウンター全員、見知らぬ同士が一体となる幸せな時間が過ぎて行った。
各料理の話はまた後日。