〜色気の奥味〜

食べ歩き ,

〜色気の奥味〜
清楚で、さらりとしていていながら色気がある。

でも男なら、誰もが落とされてしまいそうな、わかりやすい色気ではない。
その手前の、成熟せんとする勢いが、色気となってにじみ出ている。人も、大人になる直前の不安定が一番美しいのではないだろうか。
未完の色気ほど、人を惑わすものはない。
昨夜のツバスがまさにそれであった。

「智映」では、焼きなすと合わせた。塩でまぶされたツバスに歯が入っていく。
ツバスの甘みと微かな酸味がにじみ出る。幼い、伸び盛りの凛々しい脂が舌に広がって、香りが鼻に抜ける。それはブリのぼうっとした香りではない爽やかさがあって、食べる我々を溌剌たる気分にさせてくれる。
ナスの甘みが、ツバスを持ち上げる。
ナスの香りが、ツバスを自然に戻す。
二つの抱擁が、じっとりと夜を深くしていく。