「la Ciau del Tornavento」 アルバ

食べ歩き ,

アルバ駅から車で15分、ぶどうは畑に囲まれたトレイゾ村の丘の上に、その店はあった。
「la Ciau del Tornavento」である。

夕陽が遠くの山々に落ち、漆黒が忍び寄る頃にディナーは始まった。

個性的な数々のアミューズが、食欲を刺激する。
淡い滋味を滲ませる肉が優しく弾けて、青い香りと同化する、「カエルの足のフリット Amoretti di coscetta di rana con Bagnet verde Piemontese」。
グリッシーニとヘーゼルナッツの衣つけて揚げた、サンレモ産のエビの料理「Gamberi di sanremo impanati nella tonda gentile e grissini」。
魚の皮を揚げてアンチョビ、パプリカ、ハーブのソースを添えた皿。
タラの塩漬けを、温かい甘みのグリンピースのソースが包む料理。
そして小さなアミューズは、うさぎのレバーペースト、ラグートチーズのフォンドゥータ、スモークサーモン、バッカラのイカスミ衣コロッケである。
さらにはパニュルスで味付けタフォアグラムースに、ヘーゼルナッツとチョコの砕いたものをつけた、ボンボンショコラ的な小さな料理。
前菜は、「黄金の仔牛脳みそ、菊芋クリームソース、カルチョッフィとキノコ添え」。別コラムを参照してください
スプーンでまさぐれば、芋の甘みの中からイカのうまみが溢れ出す、「世界最古の小麦を使ったチュイルととイカとイカスミのカップチーの仕立て Cappucino di seppie al nero, fondennte di patate e crocante di Enkir」。
プリミは、ピエモンテを代表するパスタ料理である「Agnolotti del prin di carune al sugp d’srrosto」。
牛肉、兎肉、豚肉を同率で合わせた具を詰めた、素朴ながら噛みしめる滋味があるアニョッロティを、スーゴディカルネを煮詰めた深いソースが盛り立てる。
そしてもう一つは「白トリュッフのリゾット Risotto Mantecato al Castelmagno con Trtufo」。Castelmagnoの酸味が素晴らしい。
メインは、「乳飲み仔牛のカツレツ Costoletta di Sanato impanata nei Grissini leggermente affmicata pasuta di nocciole e insalatina asiatica」.。
3〜4ヶ月の乳飲み仔牛は、ほんのりと乳の甘い香りが漂う。
肉々しい味わいにはまだ達しない、拙い甘みが漂う肉に、ゆっくりと歯が入っていくコーフンがある。
この衣用に焼いた硬めのグッリーニの食感も良く、肉と衣が互いを高め合っている。
ドルチェの前に出されたのは、「セロリにゴルゴンゾーラをつけて食べたら美味しくて、思いついたんです」という、23歳日本人シェフの創作で、ゴルゴーゾーラのムースにセロリのジュレを詰めた、蜂蜜風味のビスコッティである。
塩気の強さの中に、ゴルゴンゾーラのたおやかさがあって、そこにセロリが香る。
互いの強さを巧みにいなして、合わせたバランスがみごとである。
チョコレートソースをかけ、コーヒーのソルベを添えたパンナコッタ、メレンゲの器にクリームとヘーゼルナッツやジャンドゥイヤを詰めた菓子。
バローロの酔いが我々をゆっくりと包み込むのだった。