「大夢」12/23

日記 ,

「大夢」12/23
は冬至の翌日だった。
冬至は一年の中でも日照時間が短い。
その日から、1日1日太陽が復活してくる日ということで、今日はお正月のごとくめでたい日である。
「太陽がない世界は生きとし生きるものが生きていけない、死の世界です。そこから生命が溢れ出してくる今日はそんなお料理にいたしました」。
玄関にかざられていたのは、てんとう虫。
生命の象徴、幸運を呼ぶシンボルと言われている虫である。
てんとう虫の名は、天から来ていて、天の道の虫、天道虫となった。
これは、木の枝でも一番頂点に登りつめてから、太陽に向かって飛んでゆくためだという。
つまり天に向かう。太陽への道を教えてくれる虫ということである。
玄関の足元は、冬枯れの死の世界を表現した、太陽を呼んでくれる植物として日影の蔓(ヒカゲノカズラ)、その植物がカラカラに枯れてしまった死の世界から、太陽を、希望の光を求めて飛んでゆくてんとう虫を表現している。
部屋は一転して華やかな世界である。 
太陽の復活と主に一気に芽生える生命力ゴールデンエクスペリエンス。ツルが伸びて一気に咲き乱れる様は、太陽の復活を指している
反対側に飾られているのは、グッチのスカーフ。 
色彩鮮やかなボタニカルな柄で、植物や虫が描かれたスカーフである。
最初に生まれるものは植物で虫であることなから、命の芽生えるワンシーンを伝えている。
「黄金の嵐」。今回のお料理のテーマである。
1. 椀 「希望」太陽がない、すべてが死に向かう暗闇の世界から始まる。そこに一筋の光差し込める、希望の光。太陽の復活を 野菜はクワイ、ごぼう、黒胡麻の寒天。蕪のみぞれ仕立て(FB参照)
2. 向附「復活」太陽の復活。復活とともに命が動き出してくる。魚も誕生します。さわらの皮目炙りは実に色っぽく、鹿の子に細かく包丁目が入ったスミイカは、ねっとりと甘く、甘エビはきりりと甘い。そこへちぢみほうれん草の甘みが暖を添える。
3. 揚物「初霜」初霜の景色。海老芋の揚げ物と数の子のフライ。
パン粉を擦って細かくし薄衣にしてある。直揚げと衣揚げによっって土と霜を表している。衣揚げは、ムースのように滑らかで、すうっと舌の上で優しい甘みが広がっていく。一方直揚げを噛めば、皮がついてないのに皮の香りが漂う。
一つの野菜の野性味と品が同居する、素晴らしさ。
数の子を噛めば、ザクザクッと初霜を踏みしめる音がする。
噛んでいくと出汁の味が、ゆっくり目覚める。
4. 煮物「冬至・大根」丸大根のゆがきたて、醤油にくぐらせて軽く焼いた雲子、有明初摘み生のり。白と黒の世界。
大根は実に滑らかで、慈愛に富んだ甘みが流れていく。
そっと深い冬に、感謝の手を合わせる。
そして白子は、微妙な醤油味によってしつこさだけが消え、白子に内在する甘みがゆっくり膨らんでいく。
5. 焼物「柳鰈」若狭焼き。
なんと立派な柳鰈だろう。
しっとりと焼かれた身を口に運べば、品が漂う旨味があって、卵からは、慈しむような甘みが流れる。
6. 飯物「かに」ズワイガニ一匹を使ったというカニのご飯。
すごい。
今まで数々のカニご飯を食べたが、これを超えるものはない(FB参照)
7. 水菓子 ル・レクチェ 無農薬早生みかん熟成 小ぶりだけど味が濃厚
8. 菓子「生命」 (FB参照)
人の生命力は太陽の巡りとともに移り変わっていく、衰えた生命力を植物の力を借りて蘇らせる。
医食同源。食べて元気になっていく。
夏の太陽エネルギーは柚子の中にしまわれるので、冬至の日には柚子湯に入る。
それにちなんだ、冬至柚子を丸ごと食べるお菓子。
9. 抹茶
10.  お火焚きで厄払い