「勢揃坂 ぎん清」。
店前は変哲もない路地だが、
実は古道で、1083年に八幡太郎義家が奥州征伐にむかうとき、ここで軍勢を揃えて出陣して行ったといわれ、 この名が残されている。
ただし裏路地ゆえ、営業的立地は、はなはだ悪い。
金曜日ゆえ満席だったが、火曜水曜はお茶をひいていたという。
蕎麦屋だが、伊勢出身のご主人と福島出身の奥様の思いが込んだ肴がある。
お造りは、伊勢志摩から送られた、きんときとアジとアオリイカ。
きんときは初めて食べる。
きんめをもう少し太らせピンク色にした魚だ。
鯛より深海にいるのだろう、身はやわらかで、
きんめをあっさりさせたような上品な甘みあり。
面白いのは、タコの錦木。
確か花街で好まれた料理法で、
各種薬味を細かく切って合わせた和え物だ。
なんでもこれを食べると惚れやすくなるとか。
古き良き時代の遊びである。
タコ(質が素晴らしい)とゴマ、青シソ、茗荷、青ネギ、ゴマ油を合わせた、乙な味だ。
白瓜の吟醸酒粕漬けを食べ、
おろしそばと
青のり天ぷらとろろそばで締めた。