「マンジェ」の坂本邦雄さんは、優しい方である。
僕がFBに「コンビネーションサラダ研究家」であると投稿しているのを覚えていて、特別にコンビネーションサラダを用意されていた。
「昔懐かしい13種の野菜入りコンビネーションサラダ」と題されたサラダは、一つ一つの野菜に丁寧な仕事が生きていて、輝きがある。
レタスやキャベツ、タマネギや皮むきトマトは、さっき収穫されたかのようにみずみずしく、かつ冷たい。
上品な味わいのマヨネーズに、コンビネーションサラダの定番である、缶詰白アスパラガス(缶詰くさくない!)をつければ、笑みがこぼれる。
同寸の角切りにされた、きゅうりと茹で人参の入ったポテトサラダは芋の甘みが生きていて、これまたマヨネーズの味が引き立てている。
とんかつの前に、生き生きとしたサラダをむしゃむしゃ食べるのは楽しい。
さて本日は、この店のスペシャルを次々といただいた。
ヴィシソワーズでスタートし、活きのホタテは、クリッとした食感と品のいい甘さが素晴らしく、エシレバターのカツは、バターの香りと豚の甘い香りの抱擁がたまらない。
フォアグラとんかつは、フォアグラの脂の香りと豚の香りがいやらしく響いて、オーロラソース風タルタルの酸味が引き締める。
春鹿酒粕使用ロース肉の酒粕焼きは、酒粕の甘みと豚脂の甘みの出会いが良く、こいつに春鹿の燗酒を合わせたら、もう体は弛緩します。
シャトーブリアンと使った、特上ヘレとんかつは、真ん中のレア気味に揚がったところが美味しい。
TOKYO Xロースとんかつは、きめ細やかな肉質で、イベリコロースとんかつは、味が濃い。
珍しい、レホールとんかつは、山わさびの爽やかな香りと出会ったとんかつの味が、ご飯を恋しくさせる。
様々なトンカツも楽しかったが、とんかつに春鹿が、日本酒に合う喜びも知った日だった。
そして、帰りの新幹線では、坂本さんの思いやりがにじむカツサンドを頬張りながら、一人にやけている。