「めくるめく酸っぱい経験」
「キュイジーヌ[S]」ミッシェルトロワグロ」。
ギョーム・ブラカヴァルシェフは、フランス人らしいしなやかなエスプリをこめて、皿のなかに様々な香りと酸味を潜ませる。
「ラングスティーヌのクルスティアントゥとコンディモン」
恐らく 広東料理のシャコ料理などでやる、避風塘スタイルにヒントを得たのだろう。
ヒヨコ豆のソースの上にはカリカリにした、にんにく、生姜、クミンなどの細かいチップが散らされ、海老は生湯葉で巻いて揚げられている。
スパイスの香りが食欲を炊きつけ、その記憶を引き擦りながら食べるラングスティーヌが、甘く、少しセクシーである。
湯葉のモチッとした食感に歯を入れれば、ラングスティーヌが弾け、その食感の対比に、思わず笑顔がこぼれる。
噛みしめれば、ラングスティーヌの甘みは、ヒヨコマメや、ナッツの甘みとも共鳴して、陶酔を呼び込む。
クルスティアンは、ラングスティーヌがまとった衣ではなく、周囲のスパイス。
コンディモンは、香りの複合なのだろう。
アジアの活力をまとったラングスティーヌは、より気品ある滋味を感じさせ、高みに登っていく。
「めくるめく酸っぱい経験」
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