「あっちゃん」

食べ歩き ,

みんなから「あっちゃん」と呼ばれる、料理家がいる。
顔は中学生のような童顔でめんこいが、じつは立派なレディである。
得意な料理は、というか好きな料理は、台湾料理、ベトナム料理、タイ料理、インド料理、そしてスープと福島弁だが、なんでもちょいちょいっと出来ちゃうのが、あっちゃんの素晴らしさである。
この日は、滋賀の有名なお肉屋さんが、豚肉を持ち込んだ。
鹿児島の「走る豚」である。
走る豚を、餃子や煮込みや生春巻きなど、様々な料理に仕立てたのだが、主役はとんかつであった。
とんかつといえばご存知のように、僕はうるさい。
月に二回はとんかつを食べ、東京のとんかつ屋へは、二百軒以上も行っている。
一方あっちゃんは、普段とんかつを揚げない。
滅多に揚げない。
それなのに、市販パン粉と油を使い、家庭のキッチンで見事なとんかつを揚げちまった。
とんかつ屋も真っ青な、所業である。
しかも分厚い。
おそらくとんかつ屋で食べれば、一枚4000円はするだろう、分厚いカツである。
なのに切ってみれば、断面はうっすらとピンクで、中心まで熱々でねえか。
食べた瞬間に「んめぇでねえか!」と、叫ぶ(ちょっと福島弁使ってみた)。
噛めば、肉汁が溢れ、思わず笑顔がこぼれる。
おかげで写真の二人のおっさんも、ニッコニコである。
やるやるとは聞いていたが、とんかつまで。
やるねあっちゃん。