〈豆汁に抱かれてVOL2〉
「マッキーさん、ひよこ豆のスープ飲む」
「飲む飲む」
「なら小さいの作るね」
根本さんは,豆好きな僕のために,スープを温めてくれた。
ぽってりとした液体と潰れた豆を、スプーンですくって口に運ぶ。
一瞬で、体が緩んだ。
「お帰りなさい」。
凍てつく大地を踏みしめながら我が家に帰り、愛する人に出迎えられた言葉が,そこにはある。
料理を超えた博愛か,味に染みゆき、心を温める。
水とレンズ豆を極とろ火で、8時間近く炊いただけのスープに声をかける。
「ありがとう」。
西麻布「オステリアトツト」にて