空也の最中の不思議

食べ歩き ,

最中の皮だけを食べてみる。
味気ない。
中のあんこだけを食べてみる。
甘く、豆の香りが広がるが、単純な味である。
ところがどうだろう。も
最中と一緒に食べれば、「ああ、おいしいなあ」と、しみじみ呟くのだ。
人間の味覚は不思議である。
別々に食べると、特段おいしいとは思わないのに、一緒に食べると、実においしい。
最中とあんこの対比的食感にも魅力があると思うが、それ以前に均一が均一に出会い、不均一を生み出すところに魅力があるのではないだろうか。
時間をかけ、味わいの変化を探ってみた。。
「さくり」。
小さいな音を立て、歯が皮を突き破る。
舌が最中に触れる。
その味は、無きに等しく、頼りない。
やがて歯はあんこに達し、にゅにゅっとあんこが口に広がり、甘みを受け止める。
しかしそのとき、最中の頼りなさが生きる。
あんこの甘さを最中の脆弱な味が和らげて、まろやかな味となるのだ。
この中庸がいい。
二つが出会って初めて生まれる優しい甘みに、我々は知らず知らずのうちに惹かれてしまうのではないだろうか。