京都「炭火割烹いふき」

焦げ茶色に輝く宝石

食べ歩き ,

それは焦げ茶色の宝石である。
数時間焼いたというシンタマは、艶やかに輝いていた。
山本さんが包丁を入れる。
どよめきが上がった。
均一な薔薇色に焼き上がった断面が、目を刺す。
美しい頬擦りしたいほど、美しい。
新保さんから預かったシンタマを、どう焼くか。
肉焼きは、持って生まれた才能である。
「いくら教えても、焼けない人間とそうでない人間がいる」
そう山本さんがいうように、焼かれている肉の見えない状態を、正確に把握しないといけない。
肉の気持ちにならないと、いけない。
新保さんは、わざと少しサシが入ったシンタマを用意した。
だが山本さんは、それを見事に昇華させたのである。
噛めば、サシが入っているのに柔らかくない。
肉の躍動があり、生命があり、それが歯茎に訴えてくる。
これこそが肉を噛む喜びであり、噛んで噛んで、肉汁を沸かせる喜びなのだろう。
精肉と炭焼き。
二人のプロの仕事が生んだ奇跡である。