araignée!!

食べ歩き ,

アレニエ
araignée アレニエという牛の部位はご存知だろうか?
フランス語で蜘蛛という意味で、日本語ではネクタイなどと呼ぶらしい。
骨盤についている肉で、どうやら骨盤のへっこんだ窪みにあるという話である。
実は僕も知らなかった、
先日Nさんとフランス料理に行って、シェフとその話になり、Nさんに頼んで送ってもらった。
骨盤のへっこんだところにある。
つまりこれは鶏肉でいうところの、ソリレスのようなものではないか。
脚の付け根の可動域にあるわけだから、よく動き、筋肉も発達しているに違いない。
最初は炭火で塩焼きにした。
おお、なんたる躍動感、歯を押し返すような弾力が生き生きと迫ってくる。
次に焼いて、タレをかけてみて食べ、その肉汁と口の中で合わせて見た。
これもいい。
だがもっとうまくなれと、今度は、ニンニクおろしを塗って塩焼きにしてみた。
ニンニクの香りがアレニエの凛しさを煽って、コーフンが増す。
だが、もっともっとうまくなるさと、今度はステーキにした。
牛脂をたっぷり溶かす。
肉に塩を振ってしばらく置き、そして半身浴揚げ、つまり揚げ焼きにした。
最後にニンニクを入れて香り付けし、黒胡椒をたっぷりとふる。
ああ、噛む。噛む。
肉が噛め、もっと噛めと要求してくる。
大至急赤ワインをください。
噛むごと溢れ出る肉汁とワインを合わせ、思わず立ち上がった。
叫ぶ。
「俺は肉を食らっているぞぉー」。
こうして私は、一頭から二つしか取れないという希少部位、アレニエに恋をした。