パリンッ。

食べ歩き ,

パリンッ。くにゅっ。シコッ。ふんわり。肉が、歯や歯肉、上顎や舌を舐め回す
「ハハ」。
笑い出すしかない、サルディーニャ風子豚の丸焼き『マイヤレットmaialetto』
である。
ミルトの葉で香りつけながら、じっくり焼いてゆく、
香ばしさを振りまきながら、皮がパリンと弾ければ、皮下のコラーゲンがにゅるりと現れて、ふくよかな肉が拙い甘みをにじませる。
ああいたいけな味ながらも、丸焼肉としてのダイナミズムもあって、その相反する感覚に翻弄されて、次々と手を伸ばす。
フォークナイフなんか使ってはいられない。もちろん手づかみですよ。
もちろん鼻息荒くしながら齧りつき、歯で肉を引きちぎり、舌で舐め回すわけですよ。
そして後はやはり、ただ笑うしかないのですね。
東銀座「ラ・バイア」にて。