百合根はまだ土の中にいて、大地の養分を吸っている。
百合根のニョッキを食べたとき、そんな気がした。
卵白と百合根によるニョッキは、我々の知る百合根以上に百合根で、その丸くたくましい甘みが爆発する。
掃除した百合根からとった出汁の中に沈みながら、百合根の百合根たる魅力を凝縮させ、自らの存在を誇らしげに謳歌している。
パルミジャーノのチュイルや削ったマジアクリは、その塩気とうま味で百合根の甘みを際立たせる。
白子のソテーが添えられるが、この冬の海の豊穣でさえ脇役である。
百合根の汚れなき甘みに、そっと艶を与えるのだった。
京都「チェンチ」にて。