ざぶん。 2018.09.14 食べ歩き , 東京 , 貝類 , すし Tweet 分厚い肉体に歯を入れれば、海の豊穣がじゅるりと流れ出す 噛んでおくれ。 そう耳元で囁かれるままに従って、噛む。噛む。 滋養が、液体となって次々に湧き出してくる。 ざぶん。 口の中に波の飛沫が弾け飛ぶ。 一方薄切りにされたものを、歯先で噛む。 するとどうだろう。 今度は潮の養液が香りとなって立ち上り、口の中を満たし、鼻腔へと抜けていく。 その香りの豊かさに、自然の生業に陶然となって目を閉じれば、海底へと引きずり込まれる。 日比谷「鮨 なんば」にて。