フライドポテトが言う。
俺たちは野性なんだよと。
冷たい油の中で、マージョラム、セージ、ローズマリーやニンニクと共に、ゆっくりと熱せられた芋は、歯の間でガリッ、ザクッと音を立てながら、野の香りで包み込む。
芋の甘みと香りと塩が、くんずほぐれず、舌の上で踊りあい、なにかこう、生きているぞぉーと叫びたくなる痛快が、走り抜ける。
手で食べよう。指先を塩と油と香草の香りで汚しながら、味を感じたい。
出来れば一人で、ビールか赤ワインを共に、無心に食べたい。
それが一番似合う、「マルティグラ」のトスカーナ風フライドポテト。
フライドポテトが言う。
俺って寛容だろと。
香菜とまみれ、叉焼と抱き合ったフライドポテトは、愉快でたまらない。
叉焼のうま味と香菜の香りを取り込みながら、カリッサクッと芋が甘い。
それがどうにも後を引き、止まらない。
こいつは箸で食べよう。箸で香菜と叉焼を一緒につまんで口に放り込むのさ。
ビールでも紹興酒でもワインでもいい。
あとは食いしん坊の仲間と、笑いながら食べよう。
それが一番似合う「味坊」のフライドポテト。