その店は月に一回、昼に開く。
香港の一流店で働いてきたトミーシェフが、料理を忘れぬよう、家庭的な広東料理を出すのである。
いや家庭的と言っても、スープは贅沢にとってあるし、浮袋とかフカヒレ、ハタなども出てくるのであった。
スタートは春巻である。
ただし繊細で優美な春巻であった。
・蜆肉春巻(あさりの春巻き)
餡と接する面はキツく、外の皮は緩く、空気を含むように巻かれている。
シンガポール製の薄皮がバリンっと弾けると、中から穏やかなアサリの滋味が滲み出る。
・鴻禧XO醤(鴻禧特製XO醤)
・叉焼豚肉 (豚トロのチャーシュー)
しなやかでいて、噛むごとに豚の旨みが膨らんでいく
・海虎群純鮮腎球 (フカヒレの縁側と砂肝のスープ)
普段は捨ててしまうという縁側を使ったスープ。
小さな塊のフカヒレ、とろとろになるまで煮込まれた白菜、砂肝という三者の食感が、滋養豊かなスープの中で開く。
・清蒸海上鮮 (ハタの蒸し物)
コラーゲンに富んだハタの身を舐め尽くす。
食べ終わると、その汁にジャスミンライスをぶち込んで食べるのさ。
鼓油鶏(鶏の醤油煮)
大好きなシーユーガイである。
タレの味わいが複雑で丸い。
生姜にピーナツ油かけてから万能ネギと合わせ、塩をする。
躍動感がある腿肉もいいが、皮の厚い胸肉、脂とゼラチン質が混じり合うぼんじりがいい。
・紅焼沙爆肚(焼き浮袋の煮込み)
家庭料理とは思えぬ高級食材がでアタ。
干した海老が味に深みを与えている。
・咸魚鶏粒炒飯 (ハムユイチャーハン)
カリカリと揚げられたハムユイの食感が楽しい。
楊枝甘露(マンゴーのデザー