締めラーメン、締め茶漬け、締めそば。
したたか飲んだ酔っぱらいは暴走する。
先日は、「鍵屋」で飲んだ後、締めはとんかつと洒落込んだ。
二代目がやられる、下町のとんかつ屋である。
座るなり、燗酒をお願いする。
僕はヒレカツ単品、同行の二十代若者は、ロースカツ定食を頼む。
「締めにとんかつなんて考えもつかなかったです」と、若者はコーフンしていたが、僕だって滅多ににやらないのだよ。
燗酒と昆布の煮た突き出しが運ばれる。
ちびちびやっていると、ラードの甘い香りが漂ってきてヒレカツが運ばれた、
酒の肴としてのとんかつには、ソースをかけない。
塩だけである
もしくは塩と辛子である。
だってソースをかけると、どうしようもなくご飯が食べたくなっちゃうからね。
同じような理由で、酒の肴とするなら、ヒレカツである。
脂の魅力はいらない。
柔らかき肉を、ゆっくりと噛み締めながら、酒を流し込む。
醸された米の甘みが、豚の甘みと出会って、空間を歪める。
目の前のものがぐにゃりと曲がって、体が浮き上がっていく(ただ酔っ払っているだけかもしれませんが)
1合の酒ではものたりず、もう一本お願いした。
塩だけで甘みを感じ、辛子つけては、その刺激を酒で和らげる。
池波正太郎は、カツレツをつまみにウィスキーソーダを飲み、串カツでご飯を食べたというが、僕はヒレカツと燗酒の蜜月関係を、じっくりと楽しむのが好きだ。
鶯谷「かつ平」にて・





