湯麺、ラーメンは、つまるところ「湯スープ」と「麺」が最も肝心である。
それさえうまければ、具は脇役として、頑張ればいい。
この湯麺がそれを物語っている。
麺の上には、紫玉ねぎの極微塵切りだけという、潔さ。
スープを飲めば、充足のため息が出る。
雑味なく、奥深い滋味が静かに佇んでいて、キレがいい。
そのスープをからめながら、細麺がつるると口元に登ってくる。
その瞬間に、ああ、もうこれだけでいい。具はいらないと、思う。
逆にあると、スープと麺の蜜月関係を壊しちゃう。
だが憎いのは、脇に添えた薬味だな。
味変として、干し貝柱、豆豉、粒マスタードが添えられる。
干し貝柱で旨味を深くするのもよし。
豆豉で、深い塩味を加えるのもよし。
マスタードで辛酸味を得るのもよし。
するとお代わりしたくなるのでやんなっちゃう。
だが、湯麺だけでなく前菜には、肉肉しい焼売や、締めには上出来の角煮丼もセットされているので、やんなっちゃう。
さすが西岡シェフだね。
新富町「シノワズリ372」があらたに始めた、湯麺のお昼ご飯。
湯と麺だけでいい。
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