ポテトサラダと雲白肉。

食べ歩き ,

それはポテトサラダから始まった。
皿の上には、どう見てもポテサラとは思えぬ球体が乗っている。
キラリとと輝く宝石である。
緒方さんのポテトサラダに、黄金皮蛋の白身を細かく刻んだものを、まぶしたのだという。
中には、黄金皮蛋の黄身が包まれている。
下でジャガイモの巣篭もりが支える。
一口で食べた。
懐かし区品のあるポテサラの味が広がったかと思うと、皮蛋の練れた塩気が追いかける。
黄金皮蛋だけに強くない。
だがその塩気は、したたかさを隠し持っており、ポテトサラダを妖艶に帰るのだった。
 
蒸籠の蓋を開けると、ナスと一緒にされた名物の雲白肉が整列していた。
美しい。
いつもと違うのはそこにかけられたソースが、緒方さんのポークジンジャーのソースであるということだった。
世界一繊細な雲白肉のために、精妙な量だけソースがかけられている。
だがそのたくましさは、直ちにご飯を恋しくさせるのだった。
そのことは承知で「運良く今日届きました」という新米の滝タタが運ばれる。
熱々のご飯にのせた雲白肉は嬉しそうで、ご飯の温度で香りと甘みを膨らませて、我々を幸せに導くのだった。
しかしそれより驚いたことがある。
「走る豚」の脂である。
今まで何度も「走る豚」も雲白肉も食べてきた。
だがこんな脂には出会ったことがない。
脂の味が澄んでいて、瑞々しくさえ感じさせる。
甘美な香りを放ちながら、ふわりと消えていく。
口にエレガントな余韻だけを残して、別れを告げるのだった。
「茶禅華」川田シェフと「洋食おがた」緒方シェフのコラボ会にて