「優勝」がまたやってきた!
「今回はこのイワシを出したかったんです」
そう言って出してくれた。
口に運ぶと、繊維などなきかのようにふわりと崩れ、上品な脂が流れ出て舌を包み込む。
その食感に、味わいに惚れて
「これが能登のイワシなんです。僕らは何もしてません」
甘海老も、身が弾けて、優しい甘みが溶け出してくる。
「東京で甘海老食べたことがある?」そう聞くと、
「ありません。皆さんがこの甘海老を食べて、今まで食べてきた甘海老と違うというんですが、想像できません」。
軽く霜降りにしてヅケにしたカジキも良かった。
弱々しい酸味と旨味に色気がある。
能登の定置網で取れたというマグロもまた、滑らかで、脂が全くいやらしくない。
バイ貝、白ガス海老の刺身、コラーゲンでブリブリな能登で上がった13kgのクエに、自家製ホタルイカの沖漬けなどのつまみに握りが10貫付いて、9000円。
握りだけだと6000円。
隣にたまたまいた食通の知人は「これじゃ東京の寿司屋には行毛なくなっちゃう」と、喜んでいた。
虎ノ門横丁ポップアップ 金沢港からやってきた「優勝」は、来週いっぱいやられています(日曜休み)