有田に営々と受け継がれる、「おくんち御前」をいただく、貴重な機会を得た。
その日は、朝から晩まで、踊り子さんたちが数十軒の家を回り、舞を舞って、ご馳走をいただくという。また旦那さんたちも、家々を巡って酒を飲む。
中でも欠かせないのが、栗の入った赤飯と「煮こぼし」である。
同寸に小さく切った、鶏肉、蓮根、里芋、人参、牛蒡、こんにゃく、竹輪の煮物だが、面白いのは、ここに小豆と栗が入るのだ。
砂糖も少し入る。
煮崩れた栗や小豆甘みが、とろりと根菜類にからんだ味わいは、しみじみとおいしい。
初めて食べるのに、なぜか懐かしい。地味ながらも贅沢な、ほっこりと心を包む味である
有田に営々と
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