朝の宿はいい。
澄んだ山中をさらに研ぎ澄まし、純粋を極め、無垢となった空気に満ちている。
思い切り吸い込めば、体内にエネルギーが流れ込んでくる。
そして楽しみは、朝ごはんである。
テーブルでは、蒸しどうふ、自家製の干物、土佐ジローのベーコンエッグ、じゃこ天、サラダ、小魚佃煮に、ご飯と味噌汁が待っていた。
なんといってもごはんがおいしい。
野菜に力がある。
そして自分で作り上げる土佐ジローのベーコンエッグのたくましい味は、ご飯を恋しくさせる。
京の名店「金田中」から京都で修行し、ここで料理長を務める松本昇吾さんはいわれた。
「高知に帰って20年になりますが。まだまだ飽きない。ここは、料理人にとってもお客さんにとっても最高の舞台です」。