「苦味」を楽しめるのは、味覚の進んだ人種である。
と、誰かが言ったように、
本来「毒」であった苦味を、おいしいと感じるようになったとき、新たな世界がやってくる。
白山の「ヴォーロ・コズィ」で、苦味の競演ラディッキオづくしを楽しんだ。
繊細で優しいアンティパストミストに続き
前菜からパスタ、セコンド、セミフレッドにいたるまでラディッキオづくし。
生、マリネ、煮込み、ジャム、冷製。
直球、カーブ、フォーク、チェンジアップにナックル。
苦味が舌にさまざまなボールを投げる。
それが素材にアクセントし、共鳴して、風味が膨らんでいく快感。
そこには
知的な悦楽があって、
一同コーフンの渦に巻き込まれていく。
西口シェフの才に、陶然と飲み込まれていく。
苦味をかみ締め、そこに価値を感じるのは、大人の特権なのだ。