富山「ふじ居」ブリ6部作である。
新湊の10キロ近い朝どれを、神経締めにしたブリだという。
1お造りは、奥からカマ、砂ずり、中トロ、大トロと並べられる。
カマは、平貝の様な食感でくりっと歯が入って
いく。
砂ズリは、コリっとした食感で、コラーゲンと脂の甘みがあって、噛む喜びを与えてくれる。
中トロや大トロは、脂の緩みが一切無い。
コリコリッと痛快に入り、一口目は脂などなきかの様なきれいな味わいだが、噛めばじっとりと脂がにじみ出て溶けていく。
2そして、二皿目は、当日上がったものでしかできないという“血合いの刺し身”である。胡麻塩と生姜醤油でいただく。
爽やかな血の香りと脂の甘い香りが同居していて、食べた瞬間笑いだすほどの旨みがある。
こいつを熱々のご飯にかけたらたまらんでしょうね」というと、「時々まかないでやります」と藤井さん。ずるい。
3次の皿は、中トロと砂ずりの元を“湯引き”、ポン酢添えである。
やや温まって香りが丸く膨らみ、優しく歯が入ってく様に惚れそうになる。
4続いてブリの“モツ煮”である。
“ふと”と呼ばれる胃袋を中心に真子などと炊き合わせてある
コリコリと弾む太を噛み締めながら、ぬる燗をやる。
ああたまりませんぜ、旦那。
5そしてカマの塩焼きである。
この色つやを見てほしい。
爆ぜるような肉、香ばしい皮と、命が充ちている塩焼きである。
6最期は“ぶり大根”ときた。
大根は通常のぶり大根より色が薄い。甘辛く煮ていない。
ところがどうだろう。
大根は、その淡い滋味をしたたらせながらブリの滋味を抱き込んでいる。
大根が大根でありながらブリなのである。
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