我、頭のけぞりて、悶絶す。

食べ歩き ,

とろん。
てれん。
ぬるん。
カニミソが、妖艶まといて、舌をたぶらかす。
我、頭のけぞりて、悶絶す。
「んんん。んんん。はははは」。
官能を刺激し味わいは、言葉にならぬ唸りを漏らせ、最後は笑い出す。
どうせ酔うなら、いい酒で酔いたいなあ。
だからよく出会うような、安い紹興酒に浸けてはいない。
10年以上寝かせた、上質の紹興酒の中で、蟹は心地よく眠り、雑味なき禁断を生み出している。
カニミソと身の甘みが紹興酒の丸い甘みと抱き合い、口の中を舐めまわす。
ああいけません。これは君が酔っ払っているのじゃない。
僕らを酔わせる手管なんだね。
「サウスラボ南方」の酔っ払い蟹(安い!)。
閉店