桃の木ミーツジビーフ

食べ歩き ,

「これくらいかなと思っていると、その瞬間にあっという間に火が入って行きすぎになってしまう」。そう言って小林シェフは悩んだ顔をされた。
それはジビーフだけでなく、愛農ナチュラルポークもほうき鶏もそうだったという。
投薬などせずに、自然な環境で望むものを食べさせた動物は、健やかに育った分、筋肉が繊細なのだろう。
だがその一方で、滋味が深い。
この日の料理では、水煮肉片、ほうき鶏煮込みスープ麺、清湯にジビーフを入れたスープが、目をみはるほど味わいに深みがあった。
火入れが難しいと言いながらも、一瞬にしてその特性をつかんだのだろう。
加熱具合も素晴らしかった。
やはりこの人は、日本の中国料理会において、図抜けた名人である。
そのことを改めて実感した夜でもあった。
それでは「桃の木」ジビーフの会の料理を紹介したい。
★ジビーフジャーキー 四川スパイス仕立て
★ジビーフ外ヒラ肉のたたき風薬味噌油
それぞれにジビーフたる香りがある
★ジビーフアキレス腱の冷製上海風
★愛農ボーク肩ロース肉の香港風チャーシュー
身質がしっとりして、噛む喜びがある味わい。
★ほうき鶏の上海風よだれ鶏
普段の鶏よりしっとりとして、ふんわりと歯が包まれる。上海風にはこの鶏があう
★薩摩豚バラ肉の干し肉と台湾A菜の炒め物
脂がうまいこと。干し加減が精妙
★香港風ほうき鶏の唐揚げ蝦醤風味
蝦醤軽い
★水煮肉片 愛農ポークとジビーフバラ肉
素晴らしい!! 味にキレがある。普通水煮牛肉は、どこかにくどさを感じるのだがそれが微塵もない。淀みなき綺麗な味。そしてスープがなんとも味わい深い。
★愛農ポークの乞食豚 竹爐山房風
小林さんの師匠でもある竹爐山房の山本さんは、角煮を作るときに煮てから燻製にかけ、さらに蓮の葉で包んで焼いたのだという。その燻製香や茶葉に似た香りが角煮に深みをつけていた。それにならって蓮の葉で包み蒸し焼きたもの。甘く香りながら溶ける油と蓮の葉の香りが響きあう。
★ジビーフバラ紅焼煮 愛農ポークの黒酢酢豚
紅焼煮というものは味が勝っているものだが、これは違う。味の奥からジビーフの滋味が鳴り響く。一方酢豚も脂の存在感があって、優美さが生まれている
★黒糯米とジビーフの蒸しスープ
なんということだろう。色は清湯なのに。コンソメの味がする。これぞジビーフの底力ではないか。
★干し貝柱の炒飯
★ほうき鶏の煮込み麺
普段こちらで出されている鶏の煮込み麺に比べると、圧倒的に味に厚みがある。丸く深く充足のため息が出る
ディオニーのワインセレクトも見事