小豆は見当たらない「氷あずき」

食べ歩き ,

「氷あずき」である。
だがどこにも小豆は見当たらない。
頂上にスプーンを差し込み口に運べば、サクッとメレンゲが音を立てて崩れ、ふわりとメレンゲクリームが唇を舐める。
優しい。
甘みの当たりも、口当たりも優しく、気分がエレガントになる。
さらに匙を進めていくと、中から小豆あんが現れた。
アンを食べれば、その甘みが、豆の香りが心をつかむ。
穏やかな、品がある女性の外見に惹かれて話していたら、突然芯に燃える情熱に気がついて、惚れてしまった。
そんなドラマがあって、胸が高まっていく。
さらに匙を突っ込むと、餅が現れた。
餅は、滑らかに伸び、唇に、舌に吸い付いてくる。
「もうあなたを離さないわよ」と、耳元で囁くかのように。
虎ノ門横丁かき氷ポップアップ 「フロリレージユ」。